静脈内鎮静法に使用される薬剤 | 森ノ宮キャンパス歯科・口腔外科|大阪府大阪市城東区の歯科医院

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お知らせ

2023.02.06

静脈内鎮静法に使用される薬剤

精神鎮静法

精神鎮静法には、薬物の投与経路によって、

吸入鎮静法(inhalation sedation)と静脈内鎮静法(intravenous sedation)があります。

前者は亜酸化窒素を吸入する方法で、後者は鎮静薬を経静脈的に投与する方法です。

☆亜酸化窒素吸入鎮静法

特徴:鼻マスクより亜酸化窒素と酸素を流し、吸入により鎮静効果を得る方法で、

   静脈確保(点滴)の必要はなく、比較的容易にできますが、鎮静効果はやや不確実です。

静脈内鎮静法

特徴:静脈から鎮静薬を投与し、鎮静効果を得る方法で、

   効果の発現が確実で健忘効果が強いという特徴があります。

当院では、鎮静効果の確実性が高い静脈内鎮静法を選択、実施しております。

静脈内鎮静法用いる鎮静薬に望まれる作用

鎮静、催眠、抗不安、健忘などの中枢抑制作用があり、

作用発現が迅速で、覚醒・回復は速やかで、

制吐作用があり、副作用が少ないことが望まれます。

また、副作用としては呼吸循環抑制が少なく、静注時の血管痛がないことなどが望まれます。

静脈内鎮静法に使用する薬物は、患者様の状態や歯科治療の内容、

および薬物の特性を考慮して決定する必要があります。

静脈内鎮静法で使用される薬剤について

歯科診療における静脈内鎮静法では、

ミダゾラムなどのベンゾジアゼピン系薬物と静脈麻酔薬のプロポフォールが単独

ないしは併用で使用されることが一般的です。

ベンゾジアゼピン系薬剤は良好な不安軽減効果や健忘効果が特徴であり、

ミダゾラムが最も多く使用されています。

プロポフォールは異常絞扼反射の抑制作用や鎮静状態の調節性の良さが特徴です。

これらの薬物は全身麻酔の導入や維持に用いられますが、

投与方法および投与量を調整することにより静脈内鎮静法の目的に応じた鎮静状態を

維持することが可能となります。

なお、静脈内鎮静法のみでは行動調整が難しい場合など、

安全性の面から全身麻酔を考慮すべき場合もあります。

ベンゾジアゼピン系薬物の作用

鎮静法で望まれる作用は、鎮静、催眠、抗不安、前向性健忘作用などの中枢抑制作用であり、

ベンゾジアゼピン系薬物は

抗不安、鎮静、抗痙攣、中枢性筋弛緩、前向性健忘作用などを有しています。

ジアゼパム、ミダゾラムの2種類が、

歯科の静脈内鎮静法の臨床で多く使用されています。

覚醒は速やかであることが望ましく、ミダゾラムは覚醒が速やかなために多用されています。

ベンゾジアゼピン系薬物は副作用として鎮静量で軽度の呼吸抑制をきたします。

ミダゾラムの呼吸抑制はジアゼパムより強く、

一過性に動脈血酸素飽和度が低下することがあります。

急速投与や過量によりいびき、舌根沈下、SpO2の低下、

1回換気量の減少と呼吸数の増加などが生じ、

場合によっては無呼吸になることもあります。

そのため、特に高齢者、慢性閉塞性肺疾患、

睡眠時無呼吸症候群では呼吸状態の確認が重要となります。

ベンゾジアゼピン系薬物は軽度の循環抑制があり、

血圧低下をきたしやすいですが、軽度の血圧低下は高血圧症患者には望ましいです。

ジアゼパムは半減期が長く(24-48時間)、静注時に疼痛(血管痛)がみられますが、

ミダゾラムは作用時間が短く、血管痛もほとんどなく、

就眠量の 1/10 量で健忘作用があるため臨床でよく使われています。

※急性閉塞隅角緑内障や重症筋無力症の方には使用できません。 

静脈内鎮静法 使用薬剤 ミダゾラム
ミダゾラム

プロポフォールの作用

プロポフォールは全身麻酔だけではなく静脈内鎮静法にも頻用されています。

鎮静、催眠などの中枢抑制作用があり、鎮静法に望ましいとされています。

抗不安作用、健忘効果はベンゾジアゼピン系薬物より少なく、

TCI(target-controlledinfusion)濃度1.2~1.4μg/mL、BIS(bispectralindex)値70台で

健忘効果が得られると報告されています。

また、ミダゾラムを併用すれば強い健忘効果が期待できます。

分解代謝が早く、効果発現が迅速で覚醒・回復が速やかで、多幸感や制吐作用もあります。

数分から数時間までの鎮静法が容易であり、

浅い鎮静レベルで咽頭・喉頭反射と嚥下反射が抑制されるので、

嘔吐反射が強い(異常拘扼反射)患者様に適しています。

また、循環系に対しては用量依存性の循環抑制をきたし、

ときに一過性の無呼吸を認めることもあります。

鎮静量で軽度の呼吸抑制、心機能抑制および血管拡張作用があり、

収縮期血圧、拡張期血圧ともに有意な低下が認められます。

注入時に血管痛があるのが欠点ですが、注入時の血管痛に対しては、

リドカインの混注がその軽減に有効です。

また鎮静量であっても体温の低下を惹起するので、覚醒時にはタオルケットで保温することが勧められます。

意識下鎮静レベルでも

動脈血酸素飽和度の低下をきたすことがあるので 、呼吸状態の監視は必須です。

プロポフォールを用いた静脈内鎮静法は、

鎮静に関する十分なトレーニングを積んだ医療従事者によって施行されるべきであります。

※卵・大豆アレルギーの方には使用できません。 

プロポフォール

最後に

さて、今回は静脈内鎮静法に使用される薬剤についてのご紹介でした。

聞き馴染みのない言葉が続きましたが、

どんな効果を持った薬剤が使用されているのか

患者様ご自身にも知って頂き理解を深めていただけたらと思います。

当院には麻酔科認定医も在籍しておりますので、

さらに詳細に知りたい方は下記URLよりアクセスください。

https://sedation-tomimori.com

静脈内鎮静法 特設サイト

https://morinomiya-campus-shika.com

記事作成者:歯科麻酔科医 向井千加子

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